成年後見・任意後見・見守り契約について

【成年後見】

すでに本人が認知症になっているときに、申し立てにより家庭裁判所が適切な保護者を選び、本人を保護するための制度ですが、実際には見ず知らずの弁護士や司法書士などに財産管理などをまかせ、報酬を支払うことになります。選ばれた保護者(成年後見人・保佐人・補助人)は、財産管理や身の回りのお手伝いをします。

【見守り契約】

見守り契約とは、任意後見受任者(任意後見人になってもらう人)が定期的に本人と面談等を行い、任意後見受任者が任意後見契約をスタートさせるための任意後見監督人選任の申し立て時期を、本人と相談しながら判断するために利用する契約です。

本人の判断能力が低下し、任意後見が必要な状況になった時にスムーズに申し立てすることができるよう、日頃から本人の生活状況や精神状態を見守るため、安心して生活を送ることができます。任意後見契約と見守り契約、任意代理契約などをセットにして公正証書で契約しておくと、より効果的だといえます。

【任意後見】

本人がまだ元気なうちに、将来心ならずとも認知症になったときに備えて、自分の好きな人(身近な人)に任意後見人になってもらい、自分の希望する生活、療養看護および財産の管理に関してのお手伝いをしてもらう契約を公正証書でしておくものです。その後もし認知症になったら、任意後見監督人を家庭裁判所で選任してもらい、後見がスタートします。

その他にも、転ばぬ先の杖として、任意後見契約に併せて「財産管理等委任契約」を結ぶこともできます。

任意後見契約を結ぶにあたって…

  • 予め入りたい施設などを決めておく。(複数の施設を見学しておいたほうが良いでしょう)
  • 月に数回は電話連絡をもらうことや、月に1回程度は訪問してもらう。
    (無事に元気でいることの確認にもなります)
  • 介護保険の申請やヘルパーの手配、日常生活に必要な用品の調達方法など。

成年後見との一番の違いは、自分で信頼できる人や機関をあらかじめ選んでおけることです。

任意後見契約、見守り契約について

弁護士、司法書士や他の個人にお願いすることが駄目とまでは言いませんが、個人に依頼をしたときのデメリットとして、契約をした相手が病気や怪我、先に亡くなられたり急な引っ越しなどで継続ができなくなったり、悪質な事件になる可能性があります。
法人などの団体では、チェック機能が充実していますので、デメリットはかなり解消されます。

任意後見の流れ

任意後見制度利用の流れについてまとめてみましょう。

  1. 相談:判断能力が低下した場合に備えて、将来、どのような生活を送りたいか、財産をどのように管理してほしいかなどについて、支援をお願いする人(任意後見受任予定者)とじっくりと話し合います。
  2. 任意後見契約の締結:相談して決定した内容をもとに、任意後見契約を公証役場で、公正証書により結びます。契約の内容は、法務局に登記されます。
  3. 見守り業務・財産管理業務:付随契約として、見守り契約や財産管理委託契約を結んでいる場合。
  4. 任意後見監督人選任申立て:本人の判断能力が低下した場合には、任意後見受任者は家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。(通常、2ヵ月から4か月で任意後見監督人が選任されます。財産管理委託契約などの委任契約をあわせて結んでいる場合は、任意後見受任者はその間も委任契約に基づいて事務を行うことができます。
  5. 任意後見業務の開始:任意後見監督人が選任されると、任意後見受任者は任意後見人となり、任意後見の事務が開始されます。任意後見人は任意後見契約に基づいて、本人の意思を尊重しながら、支援をしていきます。
  6. 後見事務終了:本人が亡くなった場合は、任意後見契約は終了します。本人が亡くなった後、葬儀、埋葬や病院等の精算なども任せたいような場合は、付随契約として死後事務委任契約をあわせて結んでおきます。また、財産の処分等について希望がある場合は、任意後見契約とともに遺言書を作成しておき、任意後見人を遺言執行者に指定しておくとより安心です。

成年後見・任意後見・見守り契約について当センターまでお気軽にご相談ください。