読売新聞

2011年10月20日

認知症の高齢者などの財産を守る後見制度で、後見人らによる財産の着服が判明したケースが昨年度、少なくとも184件あり、被害総額は18億円超に上ることが最高裁による初の調査でわかった。

後見制度は、認知症などで判断能力が不十分な高齢者や両親のいない未成年者に代わり、家裁から後見人などに選任された親族や弁護士が財産を管理する。

高齢化を背景に利用が増える一方、後見人らによる財産着服などの不正が続出しているため、最高裁が、昨年6月~今年3月に各地の家裁が把握した不正行為を調べた。

その結果、成年後見人などとして選任された親族による着服は182件で、総額は約18億3000万円に上り、

最高で約1億円が着服されたケースもあった。このほか、司法書士らによる着服も2件(計約3000万円)あった。

現在の制度では、後見人らが家裁の許可を得ずに財産を引き出せるため、家裁が不正を未然に防ぐことは難しい。

最高裁は、資産を信託銀行に預け、家裁の許可なしには後見人が引き出せない「後見制度支援信託」制度の導入を検討している。