2019年7月18日 配信
熊本日日新聞

 

熊本県菊池市西寺で住宅型有料老人ホームなどを展開する「ケアホームともづな」で、高熱の入居者を搬送せず放置したり、職員が威圧的な言動を取ったりするなど、複数の身体的、心理的虐待があったことが17日、施設関係者などへの取材で分かった。

 

菊池市は施設の立ち入り調査を実施し、複数の入居者に対する虐待があったと認定。7月末までに改善計画書の提出を求めている。

 

関係者によると、今年2月、市への通報で発覚した。市が直後に抜き打ちで実施した立ち入り調査では、40度近い高熱の入居者が医療措置を受けないまま寝かせられており、急きょ救急車で搬送されたという。

 

調査では、医師の指示がないのに解熱鎮痛剤を投与していたことも判明。職員からの聞き取りでは「処方薬を別の人に投与することがあった」「鼻から栄養を注入するチューブの使い回しがあった」との証言もあった。入居者が提出する書類の署名や押印が、本人によるものか疑わしいケースもあったという。

 

同市の「ともづなリハサービス」が2013年に住宅型有料老人ホームを開設。翌年、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を提供する複合型サービス施設を隣接地に開業した。運営するともづなリハサービスは昨年、働きやすい企業として県の「ブライト企業」に認定された。

 

熊本日日新聞社の取材に対し、ケアホーム施設長の男性は「高熱の入居者については主治医と連絡を取り、経過を観察していた。職員が声を荒らげるのは聞いたことがあるが、『優しくして』と指導している。悪いことをしてきたつもりはないが、反省すべき点は反省したい」と言っている。